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書評

【苦しんでいる社会人の必読書】苦しかったときの話をしようか

著者・森岡毅さんが社会人となる娘にむけて書いたアドバイスが元になっている本書。

しかしながら、若くもない、娘でもない、むしろ森岡さんと同世代の40代にもめちゃくちゃ刺さる内容になっているんです!

森岡さんといえば、すご腕天才マーケター。若かりし頃の伝説が沢山あるのかと思いきや新人当初は電話恐怖症になり、アメリカ法人にいた頃は会社に行きたくなくて布団から出られなかったりと、意外と普通の悩みを持っている方でした。

そんな中、森岡さんの最たる能力は実はマーケティング力だけではなく、『這い上がる力』なのだと感じさせる一冊でした。

これから社会人になる就活生、苦しんでいる社会人の必読書です。

要約ポイント3選

そもそも人間は平等ではない

私たちは、小学生の頃から人間はみんな平等であると習ってきました。しかし、森岡さんが見てきた世界の真実は『人間は、みんな違って、極めて不平等』ということ。

とりわけ大きな格差を生むのが『知力の違い』。

確かに、知力の格差と家庭の経済格差は相関性があると言われていますが、盛岡さん曰く、

経済格差は、原因ではなく、知力の格差がもたらした結果に過ぎない。

p55

とのこと。

ここまで聞くと、生まれつきの能力で将来が決まってしまうかのように感じてしまいますが、むしろ森岡さんにとっての捉え方は真逆なのだそうです。

みんな違う=自分のユニークな特徴』という考え方を持っていて、それさえ認識できれば、特別な価値を生む可能性があるという。

この本の中にもありますが、なすびがトマトやキュウリを目指しても所詮無駄なので、立派ななすびを目指すべきとのこと。

つまりは、短所を補う努力より長所を伸ばすことに時間を注ぐべきということですね。

資本主義の本質とは何か?

森岡さんは、より便利で快適な暮らしがしたい、そんな欲こそが資本主義の本質ではないかと説く。

そして、「欲」が本質ならば「競争」が構造なのだと。

ここからは、強烈な本質であろうこの項の内容を抜粋します。

資本主義は、人間の欲をエネルギー源にして、人々を競争させることで社会を発展させる構造を持つ。

p59

資本主義社会とは、サラリーマンを働かせて、資本家が儲ける構造のことだと言える。

p61

資本主義とは無知であることと、愚かであることに罰金を科す社会のことである。

p62

恐ろしいまで真実を突いた言葉だと思います。

アメリカの投資家であるナヴァルラヴィカントは「事業を小さくてもいいから所有せよ」と説いています。

所有権がないと、時間賃金労働から抜け出せないのです。

当然、所有権を持つ=説明責任が発生するわけですから、それを果たせるだけの経験なり誠実さが必要になるのですがね。

そして森岡さんは自身の子へ

サラリーマンの外に資本家の世界があり、それを知ったうえで自分を生かす機会を見いだせる人になってほしいと伝えるのです。

自分が信じられないものを、人に信じさせるとき

この項は、森岡さんが会社員時代の経験談『苦しかったときの話をしようか』からです。

新人時代、殺到する苦情の電話で電話が取れなくなってしまうも、なんとか活路を見出し数年後にブランドマネージャーに昇格するときの話でした。

外資系企業の日本法人に所属していた彼への指令は本国でそこそこ売れたヘアケア商品を日本展開すること。

それは、日本にはとてもマッチングしない商品構想だったそうです。

それでも、日本展開は本社の既定路線で覆しようがない決定事項の中、白羽の矢が立ったのが森岡さんなのでした。

その商品を信じられなくても嘘をつくような感覚で顧客へセールスしたのだが、やはり結果は燦々たるもの。

そして彼には、結果が出せなかったブランドマネージャーの烙印が押されることとなってしまいました。

その経験の中で森岡さんは、

・無力なサラリーマンである以上は「後ろ向きな仕事」は避けられない。

・結果を出さないと誰も守れない

という学びを得て、それが自身が創立したマーケティング会社【株式会社 刀】の原型になったそうです。

ちなみに、佐久間宣行さんの著書「ずるい仕事術」にも、無謀なプロジェクトに携わることになったら「責任の所在はどこにあるか」をはっきりさせ周知させることで身を守れ。という話がありました。

やはり、理不尽な仕事はサラリーマン共通の悩みなのですね。

著者のラインナップ

誰もが人を動かせる! あなたの人生を変えるリーダーシップ革命

USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門

マーケティングとは「組織革命」である。

まとめ

この本はこんな方におすすめです
  • 10-20代の就活生
  • 森岡さんと同世代の40代

この本の真骨頂は第2章、第5章に集約されていると私は感じます。

第2章は主に資本主義という現代の仕組みを説明していて、まさにこれから世に出る就活生に響く内容になっていると感じます。

第5章は森岡さんのサラリーマン時代の話が中心となっていて、これほど結果を出している森岡さんのような方でも同じように悩み、苦しんだエピソードが森岡さんや私と同世代の40代に刺さる内容となっています。

今、苦しんでいるサラリーマンの必読書でした!

それでは、楽しい読書ライフを!